水と料理の関係

水は、飲料水としてだけではなく、毎日私たちが食べる食事を調理する際にも欠かせないものです。
水と料理の関係は強く、使う水によって料理の味や出来上がりも違ってきます。
言い換えれば、料理に使う水を考え直すだけで、今までの料理がさらに美味しくなったり、体に良いものになったりするのです。
たとえば、郷土料理と呼ばれるものはその土地に行かなければ味わえないその土地ならではの味だと言われますが、それはその土地の水で育った食材を使い、その土地の水で料理されるからです。
このように、水が料理に与える影響はとても大きいのです。
一口に「美味しい水」と言っても、その性質は湧き出す場所や地層などによって随分違うものになります。
水の硬度は料理にも大きく影響します。
日本では軟水を活かした和食、フランス料理では硬水を活かしたフランス料理というように、その土地に生まれる水の性質を活かした料理が考えられてきました。
日本料理には「だし」が大切ですが、繊細な味の和風だしをとるには硬度0〜40の軟水が適していると言われています。
抽出力の高い軟水が昆布やかつお節のうまみ成分をしっかりと引き出してくれるからです。
これが硬水だと、昆布に含まれるたんぱく質と水の中のカルシウムが結合し、うまみではなくアクになってしまいます。
また私たち日本人の主食であるご飯を炊くときにも水が大きく影響します。
ご飯を炊くにはその米の産地の水を使うのが一番だと言われていますが、一般的に硬度70ぐらいいまでの軟水が適しています。
カルシウムの多い硬水で炊くと、ごはんがパサパサになって口当たりの悪いものになります。
そして、お茶も水によって味がかなり違ってきます。
日本人が飲みなれている緑茶はグルタミン酸やテアニンなどの変化しやすい成分を含んでおり、若葉の香りが美味しさになっているため、硬度50以下の軟水でいれるとまろやかで美味しい味になります。
これを硬水で入れると、カルシウムやタンニンが結合してお茶の成分が滲出しにくくなり、渋みが少ない薄いお茶になります。
ちなみに、発酵させて作る紅茶は硬水のほうが香りが出やすく、おいしい紅茶になると言われています。
このように、料理と水の関係は深く、一番その料理にあった水を使って調理すると、さらに味がひきたち栄養価値もアップします。