水の性質

水は私たちの日常生活において最も欠かすことのできないものです。
私たちは水がないと決して生きていけません。
それほど重要な水であるにも関わらず、あまりにも身近に当たり前のように存在しているがゆえに、水について考えたり知識を得たりする機会が少ないように思います。
水は私たちの体を作り、新陳代謝に大きな役割を果たしています。
しかし、近年の環境汚染によりこの大切な水はどんどん汚され、安全性が疑われることも多くなりました。
私たちにとってまさに「命の水」といえる水について改めて考えるためには、まず水の性質を理解しておくことが重要です。
水は2個の水素原子(H)と1個の酸素原子(O)からなり、水の分子(H-O-H結合)の形で存在します。
水分子間の水素(H)が持つ正電荷と酸素(O)が持つ負電荷とが引き合うことにより水素結合という結合が分子間に形成されています。
温度が上昇すると分子の運動が激しくなり、その結果水素結合が緩み、水が膨張していくと同時に密度が小さくなっていくという特殊な性質を持っています。
水は沸点が100℃と高いため、常温では液体の形態を保っています。
水以外の水素化合物の沸点はほとんどが0℃以下であるため、常温では気体のままです。
水は沸点が高いからこそ蒸発する時に多くの熱を奪います。
このような水の性質により、人間は汗をかくことで体温調節ができるという恩恵を受けているのです。
また水は温まりにくく冷めにくいという性質があります。
金属などに比べ比熱が大きくなるため、水が蒸発するのに大きな比熱容量が必要になります。
このように比熱容量や蒸発熱の大きい水を多く持っている地球では、表面温度の変化が穏やかで、生物の育成に大変適した環境となっています。
また私たち生物自身も水をたくさん持っているため、体温の変化も激しくないのです。
よって、たくさんの熱エネルギーを蓄えておきやすいのです。
また、生物に恩恵をもたらす性質として、物質をよく溶かすという性質があげられます。
水は気体、液体、固体など種々の物質を溶かす能力が高く、これは溶媒であることを意味します。
海水には約60種類以上の元素が溶け込んでいるように、私たちは水に溶けたさまざまな物質の働きによって生かされています。
このように、水は他の液体にはない特殊な性質を持っているため、その水の性質のおかげで私たちは命を営んでいけるのです。